
Artist's commentary
シャスマティス
「急げデイビット、こんな機会は二度とないぞ!」
息を弾ませて、期待と興奮を隠しもしない声で、
彼はオレに呼びかける。
「しかし、5分間だけ空が晴れるらしいとはね!
まるで台風の目のようじゃないか!」
部屋から飛び出してきた彼は、
たまたま廊下にいたオレに状況を説明し、
そのままこちらの手を取って走り出した。
暗黒の宙にかかる光の帯。
空に広がるオーロラを、彼は終始満足げに眺めていた。
楽しげな感想は自分自身に向けたものと、
隣にいる友人と、
彼が遠くに置いてきた、しかし、
決して忘れることのない、
小さな友人に贈るものだった。
「たくさんの美しいものを見るんだ。
そのために、私は生まれたのだから」
生まれた、というのは何かの比喩だろう。
おそらく彼の価値観は一度死に、その後に蘇生した。
その時に生まれた欲求が彼を突き動かしている。
そう理解した時、自分も感想を口にしていた。
会話は弾み、互いに夢の話をした。
方法も思想も違ったが、
オレたちは互いを否定することなく、
ただ“そうできたらいいな”と笑い合った。
5分間の天体観測。
まるで、少年の時分のようだった。