Artist's commentary
57 指導!抱擁!戴冠!
ペシッ!ペシッ! 父ちゃんのデコピンが炸裂! 2匹は怖くて今にも泣きそうになった。
「 お前たち 急に森からいなくなって…どれだけ心配したか わかっているのか…⁉ 」
ボロとヘンナノ、そしてバチンキーは 今までにあった事を説明しようとするが、
しどろもどろになってうまく話せない。
「言わんでいいッ! 」
衝撃のような怒声が弁解を遮る。子供たちは いよいよ恐怖ですくみ上がる。
しかし ゴリランダーの表情は みるみる穏やかになっていった。
「お前たちの姿を見れば 父ちゃんには分かる!未来を変えたかったのだろう。友の力も得たのだろう。
守りたいもののために 全力を尽くしたのだろうっ!」
ひと回り たくましくなった子供たちを 優しく抱きしめると みんな わあわあ泣いて謝った。
「父ちゃ~ん!ごめんよ~」
「おじさん!勝手に森を出て行って ごめんなさい!」
くたくたの もずく君も 群れの先輩バチンキーたちも つられて泣いた。
ようやく 落ち着いた頃 ゴリランダーは 懐から取り出した帽子を息子にかぶせる。
「 ハポン お前に与えよう!」
バチンキーは驚いた 帽子を与えられた事にではない。
「 ハポン…それが俺の名前なのかーーーッ⁉」
サルノリ君…もといバチンキー君の群れは 修羅の一族である。半人前のビートを叩く間は
名前を名乗ることは許されない。つまり バチンキー君は “ 認められた ” のだ!
「 誇るがいい。この帽子は俺の祖父がかぶっていた王冠なのだ。前にも話したことがあったろう?
ここからも見える 北のノッポツリーを打ち立てた 大英雄であった事を…。」
バチンキーのハポンは日々 聞かされていた伝説的な祖父の話を思い出し 体を震わす。
「 その祖父の名こそが ハポン!今日 お前が刻んだビートの大樹を見て 俺はお前にこの名を与える!」