ああ……そっか。そうなんだ。やっぱり、わたし。何かを忘れてる、んだね。ずっと、そんな気は、してた。
ねえ、だから、教えて。わたしが忘れちゃった、大切なもののことを。
―――これは夢想の絵画。優しい両親、仲良しの兄と姉たち、可愛い幼い妹、大好きな愛犬………狂った輪廻により消え果てた一つの家族の、決してありえぬ世界の姿。それでも君は思い描く。もう何も思い出せなくなってしまった少女の祈りが、事象の果てで結実するのを。
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