国際テコンドー女子団体戦の会場には、青と赤の旗が入り交じり、観衆の視線はこの注目の一戦に釘付けになっていた。

青コーナー──ロシア。深い青の道着に身を包み、鋭い眼光を放つ選手たち。
赤コーナー──オランダ。軽やかなフットワークを見せるものの、明らかに気迫で劣っている。

第一戦。
ナタリー・フィッサー (Natalie Visser) はコートに立ち、深く息を吸い込んだ。対するアナ・ペトロヴナ (Anna Petrovna) はすでに構えを取り、まるで飢えた豹のように獲物を見据えている。
試合開始の合図とともに、アナは爆発的な前蹴りでナタリーの腹部を直撃。
ナタリーは数歩後退し、観客席からは雷鳴のような歓声が沸き起こる。青い波が会場全体を包み込む。
「まだ終わってない！」ナタリーは歯を食いしばって反撃するが、アナの攻撃は嵐のように激しく、容赦なくナタリーを打ち倒す。

ロシア青コーナー、先取！

第二戦。
エマ・デ・グルート (Emma de Groot) は身長を活かし距離を取ろうとするが、ソフィア・クズネツォワ (Sofia Kuznetsova) は間合いを詰め続ける。
「距離を取ったところで無駄よ。」ソフィアが冷たく笑う。
鋭い回し蹴りが空気を裂き、エマの側頭部をとらえる。観客席からは赤コーナー応援団の息を呑む音が響く。
スコアはさらに広がり、青コーナーの優勢が確固たるものとなる。

第三戦、決着の一戦。
リーズ・ファン・ダイク (Lies van Dijk) はコートに立つ前から、手のひらが汗で濡れていた。
「怖がらないで……強敵に立ち向かうんだ……」そう自分に言い聞かせるが、エレーナ・ヴォルコワ (Elena Volkova) の冷たい視線が突き刺さると、心臓が凍りつくようだった。
試合開始早々、エレーナは圧倒的な技術と力を見せつける。一つ一つの攻撃が正確無比で、リーズは懸命に耐えるも、防戦一方。
観客席のロシア応援団が青い旗を振り、会場は青一色に染まる。
そして最後の一撃。エレーナの鮮やかな上段回し蹴りがリーズを倒し、試合終了。

ロシア青コーナー、完全勝利！

青コーナーの選手たちは歓声を上げて抱き合い、勝利を喜ぶ。
一方で、赤コーナーのオランダ選手たちは静かに俯き、リーズの目には涙が浮かんでいた。
「ごめんなさい……私、まだまだ弱い……」
涙が頬を伝い落ちるが、その拳はぎゅっと握りしめられていた。
燃えるような闘志が、心の奥で静かに灯る。

「いつか必ず……この借りは返す！」