
Artist's commentary
三頭の獅子、三つ影の娘達
奇異なれど熱意ありし聖職者曰く、『獅子心王には三人の娘あり。傲慢、強欲、邪淫なり。遠ざけねば王に待つは破滅のみ』。獅子心王はそれを受け、「傲慢は騎士団に、強欲は修道会に、邪淫は教会に嫁がせる」と返したと言われている。
その事について『セイバー霊基の』獅子心王は言う。
「別に、自分の覇道に邪魔だからと娘を捨てるという意
味でも、騎士団や教会を堕落させるという意味でもな
いぞ?」
「傲慢と忠節、強欲と慈愛、邪淫と純潔……全部、人間
の在り方だ。罪も美徳も受け入れて身内にした方が、
退屈しない一族になりそうだろ?」
「まあ……勝手に嫁ぎ先を決めるのはマスターの倫理観
には合わないかもしれないが……。ふむ、確かに激し
い衝突の末に罪と美徳が惹かれ合うのも面白そうだ!
よし! なぎこさんかシェイクスピア先生に吟じても
らおう!」
三頭の獅子と、大罪の名を冠する娘達。
そのいずれもが、奇異にして苛烈なる王の一欠片。