明滅する照明と轟音が芯に響く。差し出されたのは一杯のグラス。溶ける氷が僅かに音を立てる。―――暑さで火照った体には、如何にも魅惑的に映る。
「ご心配なく。 一切、アルコールは含まれておりません」
伯爵が微笑む。信じて飲み干し、甘やかな誘いに呑まれるか。或いは。