
Artist's commentary
毘天が一つ太刀
天より抜き放たれる毘天が一つ太刀。
神より人へ、人より神へ。
それは人ではない何かであったわたしが、
唯一、執着した……、というと大袈裟ですが、
まあ、なんとなく気になって、だからと言って
殊更振るおうと思わず仕舞っておいた
特にこれという事もない太刀。
ですがそれは見返りを求めぬ人と人の繋がり。
その確かな証でもあったのです。
ゆえに毘沙門天が振るいましょう。
「そう、戦場の裁定者として世の理を保つ為、
あらゆる人に公平に、あらゆる人に残酷に」
そうあれと生まれ、そうあらんと生く。
……そのはずでした。
「でもまあ、なんというか、ふと好き勝手に
振るってみたくなったのです」
そして今、あなたの為にわたしは振るいましょう。
己の意思で振るうべきでないこの力を。
―――毘天が一つ太刀を。