
Artist's commentary
【腐】「一緒に観ようよ」(石苗)
クリスマスには、苗木くんを何処へ連れて行ってあげようか。何を食べて、何をプレゼントしよう。
あまりお金はかけられないが、彼の喜ぶ顔が見たい。
大和田くんや不二咲くんに幾度も幾度も相談をして、念入りに計画を立てた。
後は苗木くんを誘うだけ。
そんな矢先だった、24日に委員会の予定が入ってしまったのは。
…何を浮かれていたのだろう。僕らしくない。わかっていたはずだ。クリスマスは恋人同士が愛を確かめ合う為の日ではない。
それに学生の本分は勉学である。今日の委員会も、皆が勉学に励める環境を整える為の大切な活動だ──。
委員会を終えるとすっかり日が落ちてしまっていた。
…会う約束すらできなかった…
溜め息を吐きながら校舎を後にすると、校門に人影が見えた。
「…石丸クン!」
顔を上げ、僕の名前を呼んだのは苗木くんだった。
「委員会、お疲れさま」
驚いて声も出せない僕に、苗木くんが何かを差し出す。
「一緒に観ようよ」
簡素なラッピングが施されたDVD。…僕が以前、観てみたいと口にしたタイトル。覚えていてくれた…。
「フライドチキン、食べながらさ。そうだ、コンビニでケーキも買って帰ろう」
苗木くんは僕の手を取って微笑む。
「ロマンチックなクリスマスなんかじゃなくたって良いんだ。
キミと過ごせたら、それだけでボクは幸せなんだけど…石丸クンは、どうかな」
…という妄想らくがき。
線画の段階で何故か妙に妖しげな小悪魔っぽい表情になってしまい慌てて修正しました。そのままだと、
――苗木くんの家はしんと静まりかえっていた。
「…明日の朝まで誰も帰って来ないんだ」
そう言いながら、苗木くんはDVDデッキを操作する。
やがて流れ出した映像はリアクション芸集などではなく…!
「ねぇ、石丸クン。DVDと同じこと、してみない…?」
っていう展開になりそうでひやひやしました