![albert faulkner (pixiv fantasia and 1 more) drawn by shima108](https://cdn.donmai.us/sample/6c/93/sample-6c93faccfb97379ec41f4c73852388ad.jpg)
Artist's commentary
【PFSOZ】Hug the Rail
「あいつの面の皮の厚さ、新都の大通りくらいあるんじゃねえのか」
アルバート・フォークナーは低い声で呟いた。
トライドール市長オバルが、芝居掛かった説明——アルバートには言い訳としか聞こえなかったが——でザリア軍の堪忍袋の緒の耐久試験をする様子を横目に見る。
口のやたら上手い(という噂の)市長にエイスが言いくるめられるのを心配し、「市長の面でも見ておこうと思って」だのなんだの言ってついてきたのだが、長話を延々と聞かされる羽目になるとは思わなかった。
アルバートのわざとらしいため息がなければ、まだこちらが話を聞かされていたことだろう。
新都の開発には、フォークナー家も出資している。当主代理としてこちらに来た以上は品行方正に振る舞いたかったが、生憎と彼は父のように忍耐強くはなかった。
アルバートは、自分達と入れ替わりで話を聞かされているザリア軍団長と幹部達を気の毒に思った。
「軍が出張るような事態になってんのに有能面出来るあたり、凄え神経してんな本当」
エイスの耳元に顔を寄せてそう言うと、彼は軽く苦笑いをして、
「住民がパニックを起こすような事態にはなっていないし、彼のやり方も良い面はあると思う。情報のコントロールが上手いんだろうな」
「どんな奴でも一応評価はするの、お前のいいところだとは思うがな……」
げんなりした調子でアルバートは言った。
「まあ、俺もこう見えて、図太さにかけては自信があるんだ。彼には負けるけどね」
笑いを堪えながら、エイスはオバルの方をちらと見た。
あの女王の息子という立場でも重圧に潰されず、鷹揚とした気質に育ったエイスの態度——たとえそれが上辺だけのものだったとしても——を、アルバートは好ましく感じる。
ついに堪忍袋の尾が切れた軍団長が、とうとうと喋り続ける市長の言葉を遮るのを聞きながら、彼は従者の差し出すコートに腕を通した。
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◾️シクステン・ブロムダール pixiv #102295215 »