
Artist's commentary
メカニカルミラン
「戦うしか…ない…!」
上着を脱ぎ捨てたリランは空に向かって叫ぶ。
「メカニカルミラァンッ!!!」
「来るか。」
声に呼ばれ、茜の空を青い彗星が切り裂くように。ビルの屋上を目掛けて青い機体が飛来した。
夕日を背にリランの背後に飛び降りたのは、新兵器メカニカルミランであった。
「青…」
「ズランと戦う。助けるために、戦う。だから力を貸して欲しいリラ。」
コックピットへ乗り込んだリランへ通信が入る。
『はいはーい!ちょっと、勝手に発進しちゃったけど大丈夫だった?』
「博士!ごめんなさい、私が呼んじゃったリラ!」
『呼ぶ…って、そんな機能…いやまぁいっか!出てったってことは、ズランとやるってことね?』
「うん。屋上には来てくれたけど、話す前にこうなっちゃったリラ…。でも何とかして助けたい。私の目を見つめてくれた時、優しい目をしてくれた、気がしたリラ。」
『その事だけど。私の方から一つ仮説があるの。』
「仮説?ズランのこと?」
『うん。あの子の異常なほどの1人になる事への執着とか、暴力的な言動、もしかするとズランは自分の能力を制御しきれていないのかも。』
「それってつまり、「人を狂わせる」能力が無意識に自分にも影響してるってことリラ?」
『その通り。わたしも正直、あの子の行動が全部本心から来てるとは思えない。もしこの説が正しければ、あの状態さえ何とかすればズランと話せるかもしれない。』
「やってみるリラ。何度でもぶつかって、呼びかけてみる。」
『うん、頑張って。通信はオープンにしておいてね、緊急用にそっちからの声は通しておくから。』
「ありがとう博士。行ってくるリラ!」
立ち上がったメカニカルミランは地上から見上げているメカニカルズラン・インフェルノと睨み合う。
「準備は出来たみたいだな、リラン。」
「行くよ、ズラン!」
――
「…リランちゃん。上手くやってくれるといいけど。もうひとつ気になるのは、ズランにあの子たちの出生の真実を教えた奴ね。おそらく、そいつがメカニカルズランも与えているはず…1人であの事実に気付いて、ロボットまで作れるとは考えられない…。」
「あとはそいつがこの局面でどう出るか…」
――
「うお~っほっほ、やっと来ましたよ敵の新型。遅いですね、ええ。」
「クキキキキ…。それにしても随分様変わりしたっすね?」
「まぁどこまでやれるか見せてもらいましょう。」