Artist's commentary
「アタシと戦え!!リラン!!!」
「身投げでも見せてくれるズラ?」
高層ビルの屋上へ現れたズランは扉を蹴り開けて言い放った。
「ズラン、来てくれた…ありがとリラ。」
「…どっちみち会うつもりだったズラ。今度こそお前を消すためにな。」
「ねぇ、2人で話をしよう?ちゃんとお互いの気持ちを話して、そしたらきっと…。やっぱり私たちが戦うなんておかしいリラ…」
「まァだそんな事。わざわざ言うために読んだズラ?もしかしてお前も能力で狂ったか?アタシは、お前を殺そうとした相手なんだぞ。」
「それでも…」
「…」
空を行く風が屋上を撫でていく、揺れるリランの髪と、揺らがない真っ直ぐな瞳。
静かに一瞬が流れた。
目を逸らしたズランは少し離れると、柵にもたれかかって喧騒が包む街を見下ろす。
「ズラン。」
「…。その上着の下は、パイロットスーツか。」
「え?」
「お前もわかってるってことズラ、アタシを説得出来ないって事を。それだからそんなスーツなんか着てみせて、結局は戦いたいんだよお前も。アタシを消して、安心したいんだろ?」
「あっ…ち、違う!ズラン、これはっ!」
「見苦しいズラ、リラン!こういう運命なんだよ!同じ人間が2人といないのが世界の理なんだ、だからアタシ達はこうなるんだよ!どちらかが消えないといけないんだよ!」
ズランは柵に飛び乗るとマントを翻してリランへ向き直る。
「この騒ぎも、アタシも何とかしたいんだろ?それなら躊躇なんかしてないで、お前がアタシを殺せよ!!」
叫びと共に柵を蹴ったズランの身体は、夕日に照らされた街の空へと落ちていく。
「ズランっ!!」
リランは慌てて駆け寄り、手を伸ばすが既に遅く。
ズランは腕時計の蓋を開き―叫ぶ。
「来い!!!メカニカルズラァン!!!」
黒い影が太陽に重なったかと思うと、一瞬のうちにズランの元へと飛び込んでくる。
「メカニカルズラン…姿が、違う…?」
「あぁ、“メカニカルズラン・インフェルノ”だ!当然、お前と戦った時よりもパワーアップしてるズラ!さぁ呼べよ!お前の“新型”!!アタシと戦え!!リラン!!!」