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Artist's commentary
夜と重力
夜、自分が眠っている間に世界には何が起こっているのか不思議でならなかった。
眠り込んでいる自分はきっと何かを見逃している、そう思っていた。
もしかしたら世界は朝を迎える準備の為にぐちゃぐちゃな色合いの景色を作り出しているかもしれない。
もしくは怖いお化けが家の中を歩き回り、眠っている自分の顔を覗き込んでいるかもしれない。
そんな変な妄想も怖い想像もたくさんした。
中でも強く思い込んでいたのは、眠っている間に重力が無くなっている、という事だった。
何故なら朝になれば自分のかけ布団はいつもどこかにいっていたし、自分の身体も部屋の壁際に移動していたりしたのだ。
無重力のせいだと思った。
だから眠っている間に自分の身体が窓の外に出ていかないよう、窓の鍵閉めだけは徹底していた。