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ある日、君を海に連れ出した。ワンピースのシフォンの布が、白く透きとおったまま風で踊る。心の中で君を呼んだら、視線がぶつかった。私は、君のことが好きだった。でも、伝えるわけにはいかなかった。次の夏も一緒に過ごしたい、と告げたら、ちいさく返事をしてくれた。波の音も、風の音も、聴こえなかった。君の声だけが耳に絡みついて、離れない。もうすぐ、夏が終わる。
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