着飾って隠した本当の自分は、薄っぺらくて怖がりだ。手にした力も、みんなからかけられる期待も、風来坊には重い。
「――いいや、“ヒーロー”はこんなことで死にはしねえ」
ヒーローなんて柄ではないとしても、理想を諦められない理由ができた。俺の見せかけを信じてくれた彼女にも、変わろうとする自分にも背は向けない。(英雄願望を抱く男の胸中)