まだ見ぬ存在というのは、勝手に大きくなるものなんだろうか。お母さんとまた離れることも悲しかったけれど、それ以上にお兄ちゃんへの想いが大きかった。
「きっと、いつか会えるよね…?」
頭に置かれたお母さんの手よりも、抱きしめたお兄ちゃんのコートに温もりを感じていた。それがなんだか形見みたいでとても悲しくなったのを覚えている。(アルベルの設計書の走り書きより)