お香の調合中、ふいに私のショールが風に揺れたと感じた次の瞬間、アイナンナ様が私の髪に巻き付いて遊んでいた。
「センセ、いいにおいです」
無邪気に笑う王女様。閉じた世界しか知らない彼女に、外には他にも楽しいことがあるのだと、いつか教えて差し上げたい。この地を旅路の果てにしていいと、私に思わせてくれたから。(エフィリンドの秘められた胸中)