Resized to 37% of original (view original)
Artist's commentary
Three bunnies🐰
「おお、お目が高い!」
ほの暗い小屋の中、ふと、三匹の兎に目を奪われる。
数多の兎の中から主に頼まれた通りのものを品定めに来たというのに、他の兎など比べ物にならないほどに視線を惹きつけられてしまった。
「そちらはつい先日捕らえた兎でして……」
売り手の声などもう耳に入らない程に、6つの瞳が心臓を掴んで離さない。買い手はこちらだというのに、まるでこちらが値踏みされているような気分だ。光に魅かれる蛾のように、ふらふらと檻へ近づいた。
かつん。
兎の靴のかかとが立てる音に肩が揺れ、はっと幻から目が覚めた心地になる。いけない、主から頼まれたのは一匹だけだ。
かつん。
どきりと胸が飛び跳ねる。絡む手足が、絞られた光を反射するかかとが、誘うようにこちらに向けられている。
「3匹纏めてとなりますが……こちらをお買い上げで?」
自分の首が縦に振られ、夢見心地で兎の手を取る。
魔術にかけられたかのような耐え難い誘惑に抗う事は、不可能だった。