Artist's commentary
#NegaResurrectionPLR P007
シリーズ:novel/series/8632277
P007 トラックマン
「トラックマンに会うのか?」
俺は正直気が進まなかった。
あいつは死神だ。
それは外見も含めての死神だが、それだけではない。
魔女狩りにおいて奴以上の功績を持つようなSランクゾンビーはすぐには思い当たらないが、同時に奴以上のS級インセインもすぐには思い当たらなかった。
死体を集めるわ、飾り立てるわ、寝るわ、その他色々だ、本当に全部やってる。
特別にぶっ飛んでいるというより平均的な異常者がやりかねない事は一通りやっている模範的な男だ。
スーパーマーケットと言ってもいい。
とても勤勉なのが最悪だった。
ここあたりで狩りをしているとのことだが出来るならば会えなかったで今日は帰りたい。
そして寝たい。
「奴は魔女の亡骸を集めているんだろ、ならば会って回収しないと」
「ハイ良いですよってくれるわけはねぇだろ、殺し合いになる、お前が魔女の亡骸になってそれで終わりだ、お部屋のインテリアになってから己の無謀を嘆くんだな」
そもそも何でこいつは魔女の亡骸を集めているんだ。
集まって黒魔術をやるようには見えないが、魔女連中に弔いの文化があるようにも思えなかった。
集めてリサイクルにでも出すのだろうか。
それともこいつにもそういう趣味があるのかもしれない。
呆けて砂の稜線を見れば一人の魔女が逃げていた。
それを追いかけるように一台のトラック、その荷台の死神。
何で都合よく出て来るんだ。
「トラックマンだ!」
傍らの魔女も走り出した。
トラックマンはその腐った脳をニューロランナーで車両に繋いでいるんだろう運転席には誰もおらずまたそれを追いかけるように無人のトラック群が砂漠を暴走し駆け抜けて、時にクラッシュしている。
荷台には沢山の亡骸が詰まれており、奴が常に戦利品と共に移動している事が解る。
奴のハレムには自家製の死体しか加われない、それは奴がケタ違いに強力なゾンビーであることを物語っていた。
トラックマンは大型の拳銃を構え、それを逃げる魔女に向けた。
シリンダーからウィスプ炎が上がる異様な拳銃だ。
あまり照準を合わせる様子はなく、ただ何となくその方向を向いている、そんな程度。
そして、それをそのまま撃った。
50口径はある大型のそれは腐り落ちた片手で撃てるような銃ではない、腕が跳ね上がり、そして轟音、砂漠の乾いた空気が細かく振動するのを感じた。
弾は外れどこかへ飛んでいき。
そして、逃げていた魔女は倒れた。
何かが起きた。
俺の焦りはすぐ横を駆け出したトレーマーズがほぼ同時に倒れた事で加速した。