Artist's commentary
#NegaResurrectionPLR P004
シリーズ:novel/series/8632277
P004 誰にでもできる簡単な魔女のつくり方
ある日見上げるとそこには大きな本がいた。
本がいた、という表現は本来正しくないかもしれないけれど、その本は明らかに生きている風で、目を持ち、顔を持ち、体を持っており、そこにいたというのがやはり正しいと思う。
本は自らを「誰にでもできる簡単な魔女のつくり方」と名乗り、私に対して挨拶をした。
私は、そう本を買いに行く途中だった。
そんな最中にこの本に出会い、そしてその本は私を使って魔女を作るのだという。
魔女になるとどうなるのか私は問いかけた。
私の問いに本は答えた、知らないとの事だったけれど。
彼は作るだけでその先は知らないそうだ。
そんな無責任なことがあるのかと思ったけれど彼は作り方の本であってそれ以外の何物でもない。
私は逃げようかと思ったけれど、少し魔女というモノに興味があった。
アニメで見たような魔女になれるのであればそれも良いのではないかと、曖昧なまま彼の話を聞いていて彼の話に頷いていた。
答えもあいまいなままに魔女づくりが始まる。
本は手際よく私を使って魔女を作っていった。
そうして魔女が出来上がり、魔女にならなかった部分が残った。
魔女にならなかった部分はどうするのか、と問いかけたつもりだったけれど、既に魔女にならなかった部分に発話能力は無かった。
本は意図を組んだのか丁寧に教えてくれる、自分に書いてあるつくり方では魔女にならなかった部分は不要なので捨ててしまっても良いとのことだった。
愛好者もいるのでそういう人に売っても良いし、そういった物を専門で引き取る業者などもいるらしいが自分は利用しないでそこらへんに捨てていくとのとこだった。
そうして本は良い魔女が出来たと感謝して去っていった。出来上がった魔女もそれとは別の方向に行ってしまう。
魔女にならなかった部分は今もそこに捨ててある。