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Artist's commentary
「なんなりとお望みのものを」
「おかしいな・・・」
確かにこのあたりにしまったはず。
いつも見かけているのに、肝心な時に限って見つからないものだ。
「お困りですか?」
満面の笑みをたたえて彼女は現れた。
ぼくの役に立ちたくて仕方がないのだろう。
「私は万能家政婦ゴーレムなんですよ!必要なものはなんだって出してみせましょう!」
彼女がエプロンドレスのスカートを少しつまむと、怪しく光るサイコロ状の物体がその中から転がり出る。
そして、それは…床に落ちるまでの間に、磁石がくっつきあうように組み合わさり、いくつかの形を成形した。
かなどこ、鉄球、スレッジハンマー。
それらはけたたましい音を立てながら床に落ち、めりこんだ。
「なんなりとお望みのものを言ってくださいね!」
ぼくは驚きながらも呆れて言い返す。
「うーん、そんな大層なものじゃなくていいんだけど。」
ぼくの手には、さっき届いたばかりの、しっかりと封をされた封筒が握られていた。