Artist's commentary
デスルター(ヴィム・ジェターク専用機)
MD-0031 ディランザ販売以前のジェターク社主力商品、MD-0021 デスルターの正式なカスタム機で、同社CEO(配備当時、COO) ヴィム・ジェターク氏の専用機。資産管理のため書類上で割り振られた型番はMD-0021Vd。
3つに枝分かれしたツノと羽根飾り、後頭部の半円状の装甲板が特徴。両肩に装甲を追加した他、左肩に懸架する盾にも若干の改修が施され、防御面に多少の改善が見られる。また脚部側面に補助推進器を増設した事で、機動性も若干ながら向上している。
これら改修ポイントは(大型ハンマーチョッパーを除いて)全てデスルターに予め用意されているオプションで再現が可能で、「専用機」といえどほとんど特別な改造をせず現行商品で賄っているのは、本機が社の宣伝を兼ねたデモ機であり、ヴィム氏自身のMS操作技術に対する強い自信の表れだと言えよう。
しかしながら、本機が他の凡百のデスルターと全く同一の機体であるかというと、実はそうでもない。
販売開始以降、ロングセラー・モデルとして君臨し続けたデスルターには、初期・中期・後期型の3世代が存在しており、中期・後期型はそれぞれ前世代機からの性能向上と操作性・整備性の改善、オプションの拡充などが図られている。本機の生産時期は後期型のリリース後であり、単に生産時期と投入技術だけを考慮しても、総合性能向上型としては最も新しく、最も優れたデスルターの一つだからである。
同社主催のイベントでは必ず展示される社の顔の一つであるものの、氏の認識では御飾りでは決してないという。その証拠として定期的なメンテナンスが欠かさず行われている点があげられ、即時の実戦投入も可能なれっきとした「軍用機」である。
その為か、時々氏は本機を"親睦会"に帯同させている(不定期に開催される"親睦会"では、しばしばジェターク社と対立する競合他社の役員も参加しており、不幸にも負傷する事故が何故か度々発生、氏も心を痛めていた)。
前社長であった実父から会社を引き継ぎ、CEOとして邁進するようになってからは搭乗の機会も大きく減り、新主力商品としてディランザを販売以降、一時期は外部への露出もほとんど無くなった。
現在はその所在を本社敷地内併設の社史資料センターに移しており、一般客でも無料で見学が可能である。