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Artist's commentary
苗場山の黄金蜘蛛
どんな悪妖も散り際は綺麗だな、と月乃は思った。
いよいよ退魔庁の手に負えなくなった竜岩窟の黄金大蜘蛛は、
駆除要請を受けた月乃の母・緋桜観緒女史の手によって秒で消し炭にされた。
しかし、その大蜘蛛の子らは散り散りになって逃げ果せたという。
それらを実戦経験を積む良い機会だ、という事で月乃は狩っているのである。
現代の退魔士は圧倒的に実戦経験が不足している。
それはプロアマ関係なく、絶対的に悪妖の数が激減しているが故の事情であり、
月乃にとっても高校生活半ばにして人生初の実戦経験であった。
違和感があるとすれば妖怪を屠る事に何の抵抗も躊躇も無かった事。
黄金蜘蛛が人型で無かったからだと推測するも、
仮に月見のような人型が相手でも躊躇しなさそうな自分に少し自己嫌悪するのであった。