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Artist's commentary
花を添える理由
①
少女はその特異性から被験体として隔離され、過酷な日々を送っていた。彼女を憐んだ一人の研究者が花束を渡すと、少女はひどく喜んだ。
②
ある日、研究者は少女の解放を試み組織を離反する。計画は失敗し瀕死の傷を負った男は、最後の手段として少女の特異性を頼った。
③
少女の血を飲んだ男は人としての姿や知性と引き換えに力を手に入れ、あらゆる障害を突破し施設を脱出した。
④
激しい追撃を振り切って深い森の奥に隠れた男は、木の根本に少女を降した。少女はひどく疲れているようだったが、花をあげればまた元気になってくれるに違いない。
⑤
数百年後、山の主として恐れられる怪物がそこにいた。怪物は毎日必ずとある木の根本に花を添えにいく。そこに花を添える理由はもう怪物にも分からないが、それは必要なことだったし、そのために怪物は生きていた。