Artist's commentary
【PFMOH】心の剣
【illust/89006778】
凍てつく氷の都で、魅了の幻影に伸ばしかけていたオーリッツの手をつかんで止めた。
鱗のない手はあまりに柔く、脆いものに感じる。
大切な相手が見えるはずの幻影が誰の顔でもなかったと、影の消えた氷壁を見てしばし考え込んでいたオーリッツの顔は、今までに見たことのない‥‥いいや、これには覚えがある。
槍に胸をつらぬかれ、どうしてとつぶやいた、あの魔術師の目にどこか似ている。
空虚な瞳。けれど何かを求める者の目だ。
オーリッツが私に、この山を登った後はどうするのかと訊ねた。
考えていない。私には剣を捧げるべき場所などなかった。
「じゃあその剣、僕にくれよ」
そう言った目は先ほどの空虚なものではなかった。
胸元にしまってある護符の存在を意識する。
それは雪原で手に入れた希少な素材からオーリッツが作った、命を守るための物だった。
死を恐れたことはない。生きたいと望んだことも同様に。
だから、ヘブンを生きて下りるつもりもなかった。必要のないことだからだ。
戦い続けて、その中で果てるなら本望だった。
だが、今ここに私の力を必要とする者がいる。
悪しき者が襲い来るなら打ち倒そう。
守るために必要だというなら生きよう。
お前が剣を欲するならば、それに応えるのも騎士の務めだ。
「私の主となるのなら良き人間であれ、オーリッツ」
そこに心がなくともかまいはしない。
新たな主が再び幻に惑わされぬよう、手を取った。
――――――――
使い魔のお誘いありがとうございますポエム!!!!
下山後もよろしくお願いします!!
オーリッツ君への接し方は変わりません。今までのが通常運転です。
◆お借りしました!
辺獄の廃都【illust/88793524】
オーリッツ君(PTメンバー)【illust/87840429】
護符をもらった話【illust/88938818】
イグナドール【illust/88062112】
◆ロゴをお借りしました!【illust/87854133】
◆pixivファンタジアMOH【illust/87556705】