Resized to 94% of original (view original)
Artist's commentary
画餅に帰する
喰ったものは全部骨の隙間から出ていくのに、
なんで喰うのをやめないんだ?
―――監視業務日誌より
--------------------------------------------------------------------------
骨格のみの姿で区内近海を泳ぎ回る超獣。
元々骨だけだったのか、何らかの作用で骨格のみになったのかは不明だが、
付近のものを手当たり次第に喰らおうとする習性から察するに、
以前は胃袋をはじめとした内臓類を備えていたのかもしれない。
まるで筋肉を備えているかのような凄まじい咬合力を有し、
ほとんどのものを噛み砕き飲み込むものの、全ては骨格の隙間からこぼれ落ちてしまう。
この超獣が飢えているとするならば、その感覚は決して満たされることはないだろう。
いずれ、より大きく強力な海棲超獣がこの無益な行いを止めてくれるかもしれないが、
今しばらくは区役所の監視モニターに哀れな姿を晒し続けることになりそうだ。
該当超獣は区役所命名規則により「トロウ」と命名された。
--------------------------------------------------------------------------