Artist's commentary
SIG・SG510/Stgw.57
60年以上にわたってスイスの制式小銃として君臨したシュミット・ルビンM1889の後継銃として、SIG社が開発したのがこのSG510であります。スイス軍制式名のStgw.57が示す通り登場は1957年で、AR-10やG3等と同じ第一世代アサルトライフルに分類される銃ですが、弾薬は7.62NATOよりちょっと強力な7.5mm×55という低進性に優れた独自規格の弾を使用しています。
ライフルグレネードの使用も考慮した長いハイダーや、583mm(23インチくらい)もある長銃身により全長は1.1m、重量はマガジンなしでも5.5kgという非常に大型なライフルで、楕円形の放熱孔が多数開いたバレルジャケットやいかつい造形のプレスレシーバーはさながら軽機関銃のような(実際そういう運用もできるみたいです)印象があり、なんかもうナウシカの世界に出てきても違和感ないくらいにゴツゴツしたデザインがものすごくカッコいいです。
電車のマスコンみたいなT字型の大きなコッキングハンドルや、普段は折りたたんでレシーバーと一体にしておけるウィンタートリガーといった装備は手袋必須の極寒のスイスでも操作しやすいようにという匠の心遣い、さらにバイポッドのヒンジ部を銃口側ではなく剛性の高いレシーバー側へ配置することで展開時に銃身に負荷がかからないよう工夫したり、ストックの後ろ半分を丸ごと硬質ゴム製とすることで反動の軽減を図っていたりと、SIGらしい精緻な設計が特徴です。
作動方式はG3に類似したローラー遅延式で、専用弾薬と長銃身も相まってスコープを装着するだけでいっぱしの狙撃銃として運用可能なほどの驚異的な命中精度を持ち、なおかつ「数十mの崖の上からぶん投げても前後サイトが曲がっただけで問題なく射撃できた」なんて噂(噂ですよ)があるくらいの堅牢さも備えるなど、様々な用途に使用できるまさに万能超高性能ライフルというべき一挺ですが、知名度の低さからかAR-10やベレッタBM59同様トイガン化に恵まれておりません。どこでもいいから出しておくれ…