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Artist's commentary
【殺人鬼展展示イラスト】愚者を戮する者
「最期に私の所に連れてこられる人間は愚か者ばかりだ、君もそうだろう」
男が言う事は正しかった。
私が選択を誤り続けた罰として、辿り着いた先がこの刑場だった。
男は淡々と、かつ上機嫌に、机に広げた本や資料にペンを走らせ、これから私を殺すのだという、巨大な蜘蛛の入った透明な筒の蓋を撫でながら、今まで聞いたこともない横文字の単語を、いくつもいくつも私に説明して聞かせる。
あと1時間もしたら私は死ぬのだという、こんな環境のもとでも、生きることに疲弊しすっかり思考を放棄してしまった私の脳は、机を挟んで1対1で男と向かい合って話を聞いているこの状況に対して、まるで中学生の時に放課後夕日のさす教室の中で、嫌々に受けた補習授業のようだなぁ、などと、呑気な事を考えていた。
▽九条薫(くじょうかおる)
▽実験と称し、生物毒や薬品などを人体に投与する
▽借金で首が回らなくなった女など行き先の無い者を引き取り殺す
カフェギャラリー幻さんで開催された殺人鬼展3犯目で展示していただいたイラストです。
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