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Artist's commentary
咲夜とレミリア
小さいころに一度だけコーマさんに会いました。森の中で遊んでいたら迷子になり、夜になってしまって震えていたら、話し声が近くで聞こえました。ママが探しに来てくれたのかと走っていくと、二人のコーマさんが歩いていました。コーマには近づいちゃいけないよ。血を吸われてしまうからね。と教えられていたので、私は怖くてコーマさんに話しかける事はできずにいました。コーマさん達は何処かへ行く途中らしく、楽しそうにお喋りしながら暗い道を歩いていました。急いで逃げようとして私が転んでしまうと、コーマさん達は私に気付いたようで、こちらに歩いてきました。私は思わず目を閉じて息をのみました。コーマさんの手が私の頭に乗せられました。私は怖くて、ひたすら心の中でママにごめんなさい。ごめんなさいと謝り続けました。いったい何を謝っているのか、私自身も分かりませんでした。そして私のまわりでぞぞぞぞぞと奇妙な音がして、ああ、私はきっとコーマさんに食べられてしまうんだ。と思い涙が出ました。そのままどれくらいの時が経ったのか…ただ自分の心臓の音がドンドンと扉を叩くように騒がしかったのを覚えています。長い長い時間が過ぎて、やがて頭の上からコーマさんの手がすっと離れたような気がしました。私がおそるおそる目を開くと、そこは私の家の前でした。わけがわからないまま家に入ると、怒った顔のママが出迎えてくれました。コーマさんの話をみんなにしても、誰も信じてくれなかったし、なぜコーマさんたちは私を食べなかったのか、私も分かりませんでした。私が美味しそうに見えなかったんだとママには馬鹿にされましたが、森での出来事が忘れられず眠れない私に、ママはあったかいミルクを飲ませてくれたのでした。