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Artist's commentary
手弱女
その気になれば簡単に握りつぶせただろうに、
撫でるだけで…それ以上は何もされなかったよ。
―――クレーン運転士の証言より
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先週から清掃が続いていた巨像についての続報。
像にこびりついていたフジツボ状の超獣を全て取り除くと、
血管のようなものが浮き出して像の全身が脈打ち始めた。
同時に僅かに生えているだけだった羽毛が伸び、
全身を覆っていった…
ほどなくして巨像は大型の鳥と人を掛け合わせたような存在になっていた。
鳥人は自らを解放してくれたクレーンに対して撫でるような動きを見せた後、
飛び去っていってしまった。後には羽毛だらけになった清掃ドームが残るのみである。
これは仮説だが…
おそらくフジツボは取りついた対象の超獣因子を吸い上げてしまうのだろう。
そして何らかの理由でフジツボに襲われた鳥人は、
因子が枯れ、動けなくなる前に我々に発見されやすい場所へ移動し、
わざと見つけさせたのではないかだろうか。
その後に我々が(結果的に)フジツボから助けることをも予期して。
我々はまんまと利用された訳だが、今回ばかりは不思議と悪い気はしなかった。
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