Artist's commentary
【PFSOZ】ゴーレムを引き連れた少女【ミストールの探検】
小説誘導のための投稿です全文novel/18649328
ユーゴpixiv #102129743 » 師pixiv #101966594 » ヴィスクpixiv #102488035 »
体調不良のため、SSを先に全文投稿novel/18649328してあります。交流は返せないと思う。余裕があったらイラスト化していますが全ページ挿絵作るかは体調により…(4p)レンスは正式なキャラシ作る元気がないのでとりあえず出来るまでこの投稿をキャラシ扱いにします。1pめpixiv #102488035 »
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SS抜粋2/4pめ
ゴーレムを引き連れた少女
助けて!という女の叫び声が聞こえた。
二人は声の方向に視線を向ける、安息地帯のはずの場所に少女がゴーレムを引き連れて走ってくる。少女は今にもゴーレムに踏み潰されそうだ。
「迷宮の罠か!?」
迷宮の罠に引っ掛かるとこういったモンスターに襲われると事前に調べて知っていたが、いざ直面すると緊張が走る。少女はこれ以上走って逃げるのは無理そうだ。ここで仕留めたほうがいい。
「君!後ろに下がって!」
「あ!この子魔法耐性あります!」
ユーゴたちの背後に逃げた少女は慌てて言った。動きは単純だったので、同時期に迷宮へ来ているはずのオルギット団の冒険者なら軽くいなすだろうが、院の学生とは相性が悪そうだ。
物理攻撃で倒すべきだと判断したユーゴは、風魔術での支援をヴィスクに頼んだ。このゴーレムは魔法核が露出してる分やりようはある。
ヴィスクの術で風を起こし、風圧でゴーレムを転ばせた。ユーゴはその隙に硬化魔法で強度を高めたロッドを身体強化した肉体で思い切り振り上げて、ゴーレムの胸部にあった魔法核を叩き割る。動力を失ったゴーレムはただの石の塊となり崩壊した。
「早いな……まあ表層の敵に手こずるわけないか」
「ヴィスクさんも俺に防御魔術も掛けてくれましたよね、安心して突撃できました」
ヴィスクは風と防御魔術をほぼ同時に展開した。なかなか出来ることでは無い。ほぼ初対面のユーゴと2人で迷宮に突入した男だ、目算が無ければ無謀なことをするようには見えなかったし、弱いはずが無かった。多分他にも色々隠していそうだ。
「支援必要なさそうだったけどな。それにしてもロッドをそんな鈍器みたいな使い方する奴初めて見た」
確かに野蛮だった。魔術師の道具に対する扱いでは無い。
「師が、大抵のやつは強化した杖で殴れば死ぬと……」
言い訳が苦しい。なんだかんだ、ユーゴはあのいい加減な男に毒されているのだ。
「君の師は変わった人だな」
ヴィスクは微妙な表情をしている。呆れたのだろう。
「知ってます……」
「あの、ありがとうございます……、も、申し訳ありませんでした!」
気まずそうに少女が口を挟む。声が震えているし顔も蒼白になっている。彼女が敵を押し付けて来たのは事実であるが、知能もそこまで無さそうで、いいとこ威力の強い攻撃をする探索者を狙い撃ちする程度だろう、行動は読みやすく弱かったし、ユーゴたちは特に彼女に謝罪を求める気は無かった。ただ、ふだん接しないタイプだ。安心させるべきだが何と喋っていいのか困る。
「怪我はないね?君、なんで迷宮に1人で?仲間は?」
ユーゴが黙っていたのでヴィスクが彼女に声を掛ける。ヴィスクの優しい声に安心したのか彼女は落ち着いたようだ。自分もヴィスクの外面の良さを見習ったほうが良いかもしれない。
彼女はおそらくアラディア院の学生だろう。ボサボサのロングヘアの16歳ぐらいのメガネの女の子だ。迷宮に一人で来たとは思えない。
「リーダーさんにそれは罠ですって伝えたんですけど、絶対隠し通路のスイッチだって言い張られちゃって……」
ユーゴにとってそれは理解できない内容だった。リーダーとやらはミスをした上、ゴーレムに魔術が効かないからと、非戦闘員の彼女を見捨てて逃げたらしい。ここは安全な学院ではないし、苦渋の決断をすることもあるだろう、それにしてもだ。リーダー失格ではないか。
「ああっ!これじゃあの子に責任押し付けちゃってますね、えっと、私が悪いんです。アドバイザー役は私で、ちゃんと説明出来なかったですし。モンスターと戦えない私をここまで連れてきてくれたのに……一緒に逃げたんですけど走るの遅くてはぐれちゃって」
「助言を無視して強行した上、仲間を見捨てて逃げた奴を擁護するな」
理不尽な目にあったというのに自分が悪いと言う彼女にイライラした。どう考えてもリーダーとやらの過失だ。
「ユーゴ怒ってるな?割といるよそういう奴。言ったろ、判断力がありそうだから君を選んだって。ついでに好感が持てる人間性をしてるしな」
出会って間もないというのに、ヴィスクはユーゴの扱いが理解っているようだ。急に褒められたため、怒りから意識が逸れる。ついでにさっきまで名字呼びだったのに名前呼び、急に距離を詰めてきたので動揺した。
「なるほど、君は迷宮に詳しいんだね?」
「まだまだフィールドワークが足りないですが、古代魔術を研究しているので、遺跡も迷宮も勉強していて!でも私は戦えないから、彼に無理言って同行させてもらったんです」
アラディア院には戦えない研究職もザラに居る。評価は戦いの強さだけではない。どうもリーダーとやらは、弱いというだけで彼女を下に見る馬鹿だったらしい。
「よかったら一緒に探索しないか?専門家が居るとありがたい。ユーゴ、いいな?」
確かにそれは良いかもしれないとユーゴは思う。彼女は未成年だし苦手なタイプだったので気後れはするが、戦えない女の子を独り迷宮に置いていくような人間にはなりたくない。それに、ヴィスクとの探索は勘を頼りに手探り状態だったし、彼女のような専門家が一緒なら勉強になるだろう。
「ああ、俺は構わないが、名前ぐらい教えて欲しい。俺はユーゴ・ハンス」
「名前言ってなかったですか!?よろしくお願いします。私はレンス・ミュリエルです!」
「ヴィスク・ヘーゼンだ。よろしく。あと自己紹介ついでに、前から言いたかったことがあるんだが、ユーゴ、そろそろ俺に敬語はやめてくれ」