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Artist's commentary
#NegaResurrectionPLR P014
バーガー・ペンドラゴンJrの挑戦
シリーズ:novel/series/8632277
「なぁトラックマン、一ついいか」
「……なんだ」
「俺の勘違いじゃなければ、あれはエクスカリバーガーのマスコットに見えるんだが……どうだ」
「残念だが僕にもそう見える、なんだあれは……」
砂塵の中に姿を現したシルエット、ハンバーガーの頭部に聖剣を刺したその姿はバーガーチェーン『エクスカリバーガー』のマスコット、バーガー・ペンドラゴンJrに見える。
被り物をしたゾンビだろうか、それともついに脳がイカれたのか、イカれたとしたのなら二人同時ということになる。
俺の腐り落ちた脳ならともかくトラックマンの野郎は脳の中身はともかく比較的まともな状態を保っている。
だとすればあそこに見えるのは本物のバーガー王伝説ということになる。
「なんだ、バーガーが食えるのか、だったら僕はダブルチーズドラゴンエッグマフィンがいい」
「待て少し落ち着け、食えるわけがないだろ、でも俺はフィッシュアンドチップスセットがいい……」
「ちょっと待て」
突然バーガー男に制止された。
俺たちは突然のことにまるで対応することが出来なかった。
制止されるという考えがまるで無かったのだ。
「落ち着いて考えろ、バーガーが食えるわけはないだろう、これはただの被り物で俺は本当のバーガー・ペンドラゴンJrじゃない、ここは砂漠の真ん中でエクスカリバーガーではないしキッチンも無い。そもそも俺たちはゾンビで胃にも穴が開いている。俺はカンパニーの刺客でお前たちを始末しに来ただけだ、そこ辺りはまず、そのいいか? OK?」
「あ、ああ……すまないどうかしていた」
トラックマンは少しがっかりしていたように見える。
俺も小さくOKと呟いた。
「ハンバーガーを提供できない事は謝罪する。これは俺がエクスカリバーガーでバイトをしていた時の被り物だ……ったと思う。最近記憶があいまいなんだが、たぶんそうだ。ちなみに俺はエクスカリバーガーのシェファーズ・パイが大好きだった。世界が滅んだと聞いてとても残念だったのを覚えている。お前たちを始末すればカンパニーがエクスカリバーガーの再建を検討すると言ってくれた、だから俺はここでお前たちを始末する。解るか? OK?」
「OKだ……」
トラックマンも、OKと呟く。
「だが……お前は本当に僕ら二人とやり合うつもりか? このアークゾンビー・トラックマンと、呪われ男のモーリスを相手に? 死してなお生き永らえた命だ、お前もまたパイを食べたいならここで死ぬのは得策じゃないと思うが」
「あ、ああ……そうだ、呪い殺すぞ」
正直手負いのゾンビ二人だ、おまけに隣のトラック男は戦略的な優位の大半を喪失していた、そこら辺のレッサーゾンビでもなんとなかるような気がする。
ちなみに呪われているのは俺で他人を呪い殺すことはできないが、バーガー野郎もさしたる手練れではないのか、そのバーガー顔には多少の動揺が見えた。
思ったより不利ではないかもしれない。
「……なぁ、ちょっと待ってくれ。突然のことでお前たちは不快に思うかもしれないがいいだろうか、俺とお前たちは手を組むことはできないか?」
「俺はバーガーの再建に興味はない」
「僕は少しある」
「いや、今はバーガーから少し離れてくれ、カンパニーがそんなことを考えていないことは俺も解っている。たとえ俺がお前たちを始末できてもエクスカリバーガーは蘇らないし、俺はいつまでもカンパニーの手ゴマでしかない。下手に逆らえば命が無い事も解っている。いつまでたってもポーンだ、キングにはなれない、だから……」
目の前の男はキングではないが思ったよりも利口な男に見えた。
自分の立場もそして俺たちの立場も良く解っていた。
だが俺にはそれよりもう少しヤバい物が見えていて、正直のところ途中から話をあまり聞いていなかった。
「なぁ、だがスマン、ちょっといいか、バーガー王、話の腰を折って悪いんだが」
「えぇ……いや、だから、おれは本人では」
「そういうのはいいんだ、本当に悪いと思うんだが一つ質問させてくれ、俺にはお前の向こうに、ちょっと、そのなんだヤバい物が見えるんだ、トラックマンお前も見えるか?」
「見えるな……なんだあれは……」
「お前は一応エクスカリバーガーのマスコットなんだが、どうにもあれは俺には『エイリアンバーガー』のマスコットに見えるんだ。あれはお前が引き連れているのか……? バーガーチェーンが共謀して俺たちを狙っているのか?」
「何言ってんだお前は、俺は単身お前たちを……」
振り返ったペンドラゴンは銃を取り落とした。
巨大な触手を振り回すエイリアンバーガーのマスコットたちがこちらへと迫っていたからだ。
彼が逃げ出したのを皮切りに、俺達は同時に走りだした。