Artist's commentary
オリジナル きつね(仮)ちゃんの秘密 序章 プチキャプション付き
彼女と遊ぶようになってからは何度も一緒に食べ歩きをしては美味しいお店を開拓していったのだが、近所の店はほぼ行き尽くしたと言う辺りで気がついたことがある。
何故かあの評判の良い鰻屋にだけは行かないのだ。
それとなく聞いても「あぁー、鰻はなー…ええやん今日は別行こ」とはぐらかされる。
鰻は苦手なのかなとも考えたが、店の前を通りかかる時の良い香りに包まれた時の彼女の顔からは鰻が嫌いというようにはとても見えない。
やはり普段一緒に食べているものの価格帯からすれば高いし手が出しにくいのか、ちらっと店内を覗き見ては名残惜しそうに諦めるような仕草をしているのを横目で見ていた。
そこで給料も入ったことだしと、限定メニューを予約してサプライズで連れてきてあげることにしたのが今日の昼頃。
おごりだからお腹一杯食べなよと胸を叩いて見せると、彼女は予想に反して嬉しそうな複雑そうな、小声で何かよくわからないことを言っている。
聞こえたのは「後悔しても知らんで。」という一言だけ。
何のことかと聞き返してみても、彼女は「なんでもあらへんよ。」と答えてくれなかった。
やっぱり苦手なのかな、失敗だったかなと苦笑して頭を掻いていたが、その後の彼女は運ばれてくる立派なうな重の香りに目を輝かせ、普段は見せない笑みを浮かべているのを見て安心する。
本当に好きなものを見た時の顔だ。
「頂きます。」
手を合わせ、最初の口にした彼女は驚いたような表情。
目を細めてニヤッとした後、彼女は一口また一口と別の感動を求めて違った角度で鰻を口にする。
後から「この食べ方はどうだった、あの食べ方は…」と楽しそうに話すのも面白くて、少し大げさではあるが自分はそんな彼女の味の探検を見ながらの食事は好きだった。
こちらも一口食べてみる、本当に美味しい。
「…。」
ちらりと彼女を見やる。
彼女は食事をしている間は全く話さないが、それを退屈だとは思わない。
美味しい食事で幸せそうな彼女を見て、その幸せをわけて貰う時間はいつもとても心地よいものだった。
――――――――。
食事の後(結構なデザートも奢らされたが)、彼女にお礼を言われて気分良く店を出る。
しばらくあーだこーだと食べたものについて語り合っていたのだが、どうも先程から彼女の様子がおかしい。
だんだんと口数が減り、熱に浮かされたような表情で口元を抑えてはため息をつき始める。
体調でも悪いのか、今日は帰ろうかと声を掛けると、「大丈夫…」と言うだけでほとんど話さなくなってしまった。
風邪でも引いてしまったのかと心配になり、熱でもあるんじゃないと彼女の額に手を当ててみる。
「~~~~~~~~っっ!」
すると彼女はこちらがびっくりするほど全身を跳ねさせて、驚いた顔でそのままへたり込んでしまった。
熱で真っ赤になったのであろう顔で小刻みに息をする彼女はとても大丈夫には見えない。
まずは驚かせたことを謝り、多分風邪だから帰ろう、送るからと声を掛ける。
「…ちゃう。」
何?と聞き返す。
「風邪やない…っ」
彼女はそう言って大きく肩で息をし始める。
そんな状態で風邪じゃないわけない、額から伝わる熱だって確かに熱かった。
風邪じゃないなら余計に心配だ、何か持病でもあるのかもしれない。
無理はせず、食べ歩きはまた今度にしようと彼女の手を取って立ち上がらせようとする。
「ん…、…~~~っ…!」
こちらの手を取る彼女が立とうとしてまた固まる。
へたり込んだまま細い目を見開いて、その視線はこちらの股間に向いていた。
「…――――っ、あかん、ごめんついてきて…ッ!」
彼女はこちらの手を掴み立ち上がると、こちらの体勢が崩れるのも気にせずグイグイと走るようにしてどこかへと向かう。
いつも休憩に入る大通り沿いの喫茶店を通り過ぎ、その側の路地裏へと入る。
右、左、右、右と角を曲がり、どんどんと細くなる道を慣れた様子で進むと、やがて行き止まりになってしまった。
壁越しに聞いたことのある店のBGMが籠もって聴こえる、いくつかの壁の向こうにはいつもの光景が待っているのだろう。
だがこんな所は何か目的がないと絶対に人なんて来ないとわかるほど薄暗く不気味で、まるで異世界にでも迷い込んだようだった。
…戻ろう、病院に行かないと熱ひどくなっちゃうよ。
「やから、風邪ちゃうねん…ッ」
彼女は苛ついた様子で繋いだ手を離し、突然強い力でこちらを突き倒す。
尻に伝わる痛みに驚くこちらを見下ろしながら、彼女はハーフパンツごと下着まで一気に下ろし、跨り抱きついてくる。
「ここっ誰も来おへんからッ…っ、おねがい…ッ」
言いながらこちらの首筋に甘く噛み付いたり汁気のあるキスを繰り返し、顕わになった下半身をズボン越しに擦りつける。
様子のおかしい彼女に困惑と確かな興奮を感じ、ムクムクと欲望が持ち上がる。
そのままこちらの待ってという言葉も聞かず、彼女は期待に硬くなったこちらの性器を露出させ入り口に直接擦りつけ始めた。
「だから、言うたやんかあ…ッ、鰻、ウチおかしなってまうねん…っ!もうええやんなっゴムないけどっ、挿れ、挿れるから…っ」
普段からは想像もつかないほど彼女からは余裕や物静かな印象が消え失せ、こんな場所で獣のような振る舞いを見せている。
鰻でそんなことになるのかという疑問は残るが、大抵のことに受け身な彼女がこんなレイプ紛いに行為を求めるなんて普段ではあり得ない。
にわかには信じられないが、それほどに彼女は異常な興奮に支配されていた。
脱ぎ捨てられたハーフパンツが染み出すほど濡れ湿っているのが見える、おそらく歩いているときから既にこうなっていたのだろう。
「は、ぁ…っ」
彼女の入り口はパクパクと蠢き、掛けられた体重で少しずつつぷ、つぷ…と亀頭を中へ誘い込んでいく。
それでも彼女も望まない興奮への最後の抵抗なのか、少しずつ挿れては踏みとどまるような素振りを見せているのがわかる。
「が、がまんっ、しようとしたんやでっ、ウチだってッ、このままじゃっウチ、おかしなってまう、から…ッ、しゃあない、からっ、おね…がい…ッ」
もう耐えられないと涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら懇願する彼女の異常な興奮は、この狭い路地裏に充満しやがてこちらにも伝染していく。
……。
彼女の腰を掴み、涙でどろどろになった彼女を見る。
「あ…ッ」
期待にびくりと腰を震わせる彼女はこちらを見下ろし、理性の溶けた淫らな笑みを浮かべる…。
壁の向こうから聞こえてくる喧騒、コンクリートの壁1枚を挟んだだけの淫らな非日常を止める者は誰もいない――――。
(次回イラストに続く)
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投稿者は「鰻を食うと勃起が収まらなくなる」という変な体質があるのですが、「それ、きつね(仮)ちゃんでやったらえっちくね?」ってご意見頂いたので描きます(自 分 を 売 る)