Artist's commentary
104 ひとひら ふたりを むすんで きえた
あれから ながい ながい 時間が過ぎた どこかの島の浜辺。
ふたりは 魂の旅を終え、再び体を得て 命の旅を始めていた。
ここに至るまでに 何度も ふたりの魂は 離れ離れになりかけた。
その度に 強い思いのこもった花吹雪が かすがいとなって ふたりを繋ぐ。
しかし、繋ぎ続ける度 はなびらは数を減らし力を失っていく。
そして、遂に ふたりは出逢った。
はなびらは 最後のひとひらになり ふたりの間を ひらりと舞い 消えていく。
その瞬間、声が聞こえた。
それはまるで 何千年も前に放たれた星の輝きが 今 届いているかのように、
はるか はるか 昔からのメッセージ。
小さな 小さな 子供の声で。
「おいたん、アセビちゃん。きっと また あおうね!」
第4章 おわり