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Artist's commentary
101 神木の呼応
日の出が丘を照らし始めた時、景色が一変する。
「咲いた…」
ハポンとゴリランダーは そう声を揃え呆気にとられた。
大木がモモン色の花を満開に咲かせていた。
未明からの喧騒に必死だった当事者たちは、今になってこの樹が照魂樹であった事に気付く。
後からやってきた森のポケモンたちは 万年枯れ木が花を乱舞させる様に嬌声をあげていた。
しかし、ボロは この美しい現象に 怒りにも等しい感情を抱く
「…ふたりの魂を吸って咲いて、満足なのか…⁉」
そういう風にしか思えない。そんなタイミングだ。
悔しさをにじませ 照魂樹を睨みつけるボロに ヤレユータンが この樹の真実の言い伝えを説いた。
「そうではないよ。この樹が花を咲かせるのを見るのは 私も初めてだが…」
兄弟や仲間達が 身を乗り出すように聞く。
「照魂樹は、ポケモンの魂をエサに花を咲かす樹ではない。高潔な 輝くように生きた命を
天の楽園に向かわせるために “ 花びらを風に乗せて道を作る ” のだという。
…ふたりのような祝福されるべき魂を照らし 安息へ導いてくれる神木なのだよ」
『らくえんでは おなかは へったりしない?』
「楽園では 食べる物には困らないよ」
『らくえんでは こわいポケモンが きたりしない?』
「楽園は みんなが仲良くすごしているというよ」
末っ子がヤレユータンと そこまで問答をした時、皆が一斉に樹に上り始めた。
誰といつ 相談したのでもない。各々が瞬時に 同じ想いに至ったからだ。