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Artist's commentary
99 彼女の夜を終わらせて
ついに姿を現した 本当の敵。森の仲間を傷つけ、アセビを苦しめた 元凶 ウツロイド。
仲間達の行動は速かった。
ゴリランダーとハポンが 勇ましい律動を刻めば、たちまち強靭な つる がうねり
ウツロイドの手足を縛って 身動きを封じる!
ボロも続けて 高圧に形成した水のバリアをアセビとの間に巡らし、再び彼女の体には
戻れないようにサポートする!
「セイガイさん…今だ!」
「やっちまえ オッサーーーン!」
「斬れ!サムライ!!」
さあ、あとは主役が決めるだけ…のはずだった。
「く…口惜しや、この期に及んで 目が…見えぬ…などとッ」
セイガイが流した血は あまりにも多すぎた。並みのポケモンならば すでに力尽きている状態だった。
それでも 必死に刀を探す。
無情にも 空を切りつづける右腕…足元の視界さえ もうない。
「おいたんっ もっと みぎ!」
どこからか声が入って来る。頭に乗っかっていた末っ子だ!
セイガイの手に刀が触れた…そして握り直す。
「かたなは たかくかまえて!こしよりたかく!てきは そのまま まっすぐだ!」
末っ子の誘導で 失いかけたチャンスが再び返って来る。
「がんばえー!おいたん!もうすこし…そこだー!」
「かたじけなし…皆、かたじけなし 童よ…!」
フツッ
派手な両断音など なにひとつない。彼の生涯最高の一振りは 剣の極地たる “布都” の音を鳴らし、
アセビを夜に閉じ込めていた 毒の鎖を断ち切った。
勢いのまま 倒れ込むセイガイ。
アセビも 解放、安堵、感謝…いずれともいえるような 晴れやかな表情を見せて 地に伏せた。