Resized to 75% of original (view original)
Artist's commentary
98 真の武士
岩をも裂く刀が 無慈悲にアセビの首めがけ放たれた!
ボロとハポンは思わず 固く目をつむってしまう。
刃は…首元までわずか数センチの所で止まった。
セイガイは刀を置き、身を震わせ アセビに呼びかける。
「 …斬れぬ。斬ることなどできようはずがない…!」
“戈を止める”と書いて“武”。それは、迫りくる相手の暴力だけを言う事ではない。
相手を破壊しかねない 自らの力を すんでの所で止められる心の強さこそを言う事を。
ボロたちは 今 目の当たりにする。真の武の士の姿を。
「 かような蛮行が…そなたの意思で行われるわけがない…。ほんの一時ではあったが、
拙者は そなたの 慈愛と誠実さを よくよく知り候えたのだ…!」
荒い呼吸を なんとか整えて、願うように問う。
「一言…一言でよい。そなたの…真の心を…拙者に 聞かせてくれい!」
うつむき、苦しむように震えるアセビ。まるで 何かと戦っているように。
そして、振り絞るように 叫んだ。
「セイガイはん!…助けてぇぇーーッッ!!!」
その声と爆発する感情に弾かれるように、一体のポケモンがアセビの体から吐き出された!
一同は瞬時に理解する。“これが 倒すべき本当の敵”なのだ、と。
セイガイが、最後の力を湧き上がらせる!
「 ボロ殿の杞憂…真であった…か⁉ …おのれ鬼化生め、覚悟せよ!!」