Artist's commentary
ラフと完成
skebにてリクエストを頂きました。
堀川雷鼓と今泉影狼です。
ということで早速キャララフから。
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以前描いたキャララフを見ながら再構成します。
https://downloads.fanbox.cc/images/post/3485501/OJUeZOnKDuikVY8b4REkTa82.jpeg
※幻想郷なので、うまくしっぽが出せる着物も日常的にあると思っています。
もともとの衣装の色を使おうと思っていた着物でしたが、それが案外魅力的にできませんでした。
そのため、主に補色等を使い改めて構成しています。
影狼は髪に赤が入っているため、着物を緑に。
雷鼓は赤髪に黒で誘目性の高い組み合わせに。
それぞれに黄色だったり紫だったりを加え、調和を目指しました。
補色については、井上紙袋さんの記事にてわかりやすく解説されています。
もう少し詳しい配色の基本はknowledge/baigieさんの記事がおすすめです。
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・着物の柄
影狼の要素は月、雲、すすき。
雷鼓は稲妻、太鼓、雲の三要素です。
それぞれ家紋などを参考に、できるだけ和柄っぽい感じを目指しました。
月は月輪を参考に、雲は雲の家紋全体の描き方を見つつ。
稲妻に関しては能楽協会さんの装束「唐花稲妻模様の法被」を参考しています。
https://downloads.fanbox.cc/images/post/3485501/QIZtr6znFFNgJHC2NUSN8wBm.jpeg
胸の大きい人の場合、お腹にタオルなどを巻いて体型をまっすぐにすると着物が綺麗に着られます。
という知識は、ずいぶん前に羽海野チカさんのハチミツとクローバーで知って以来、和服関係で常に念頭に置いています。
https://downloads.fanbox.cc/images/post/3485501/JxvgLk9BFZhOYP7lzaZxquw7.jpeg
帯締め(真ん中の紐)はふたりとも雷鼓の太鼓を模したものです。
また、帯の結び形も一重太鼓で揃っています。
着付けが終わった後に姿見で確認するのも良いのですが、相手を見て「自分もこうなっているんだな」と客観的にわかるよう、雷鼓が気を配った形にしました。
今回のリクエスト内容は
・雷鼓が影狼に着物の着付け
・影狼の髪型は後ろでまとめ、わくわくした表情
・姿見の前
影狼は人間タイプの耳はおそらく無いので、そこを隠せる感じの髪型に。
さて、対して雷鼓のように短めの髪は着物にどう合わせるのかというと、グーグル先生に伺ったところ髪飾りで工夫するとのこと。
左側の髪に飾るのが、なんだか綺麗に見えるのだそうです。
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・カラーラフ
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姿見内の影狼が一番きれいに見えるのは、やっぱり帯など含めきっちり着物が出来てる段階かなと考えました。
ですので着付けはほぼ完了しています。
雷鼓はその帯を最後に整えている感じです。
姿見からの距離はちょっと迷った部分でした。
あんまり離れていても絵的におさまりが悪くなり、近すぎると姿見の中が上半身のみになってしまいそう。
だいたいこれくらいの距離がちょうどいいかなと判断しました。
また、絵全体の切り取り位置も時点の迷いどころでした。
絵を縦長にすれば上記の姿見の中なども解消はするんですが「う~ん入りゃいいってもんじゃないな!」という感じで横長におさまりの良さを見出しています。
切り取り位置を広くすればするほど、キャラの顔など見せたい部分から離れていってしまうためです。
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極端な事例ですが、こんな感じで見せたいキャラが遠くなります。
別のものにも視線が向きがちに。
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ペン入れ前に正確なパースを作っておきました。
頭が混乱しないよう、それぞれ線の色を変えています。
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・完成
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※障子の種類は吹き寄せ障子です。
さて、今回は顔が良く見えるキャラを一箇所にまとめず分散させました。
具体的には、姿見の中では影狼を主役に、右の後ろ姿は雷鼓のみ横顔を見せるようにしています。
初めのうちは
・姿見の中で良い感じに二人の顔が見える
・右側は後ろ姿のみ
という形を考えていました。
しかし姿見は基本一人を映す用なのか細長く、どちらかを優先しないとかなりの狭さです。
また雷鼓は後ろで影狼の帯に触れているので、配置を下げ上記のような形にしたほうが、それぞれに見せ場を作れると判断しました。
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おそらく初めに視線が向くのは、ほぼ正面顔である姿見の中と思われます。
そして右のキャラへと順に視線が流れていくと思いますので、そのガイドとして真ん中に猫がいます。
キャラ顔の配置ラインに出来るだけ重なるよう猫も配置しました。
これで少しでも視線の動きが滑らかになったらいいなと思います。
https://downloads.fanbox.cc/images/post/3485501/4yrS0gyzPwrNT5S99PrGqbL5.jpeg
部屋の隅部分は吉田誠治さんの図説に従い明るくしています。
あそこだけがまっすぐ光が入っている部分なのかなと思います。
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・余談
今回なんだか全然描き終わらないなあと思っていたんですが、よく考えたら描いているのは4キャラ分だったからなのでした。
不思議なことに、作業終盤になるまで私の認識はずっと2キャラ分という状態だったのです。
確実に鏡の存在がそうさせていると思うんですが、たとえ自分が作業している絵であってもそう認識してしまう現象、興味深いなと思うところです。