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Artist's commentary
87 セイガイの落とし物
アママイコのアセビにつづき、グソクムシャも意識を取り戻す。
こちらは相当の重症を負っているため、やっとの事で上半身を起こし 木の実を食む有様だ。
いきさつを聞くと こちらも “ セイガイ ” という名と、嵐の中 何者かと闘ったという
うっすらとした記憶しか残っていなかった…。
どこから来たのか 分からないポケモン2体、故郷へ帰してあげるのは なかなか大変そうだ。
そんな時、外から騒がしい声がやってくる。ハポンだ。
「お~い ボロくん、見てくれ!すっげー棒をひろったぜー♪」
ハポンが重そうにかかげるそれは、とても立派な拵えの…と思った所で もずく を見て叫ぶ ボロ。
「あ、これな!この棒を入れ物から抜いてさ、もずくの頭をトントンってやったらコレだぜ⁉
マジですげーよなぁ♪」
ハポンと もずく にとっては この程度のハプニングは些細な事らしい…。
騒ぎを聞きつけ セイガイがゆっくりやって来る。ハポンの持っている物を見るや、失われていた記憶を少し取り戻した。
「これなるは 拙者の命に等しき愛刀 “ 蛸切 ” !よくぞ我が手元に…童、礼をいうぞ!」
ハポンが重そうに担いでいる その刀を軽々と取り上げる。側頭部にある吹き返しに
器用に引っ掛け、無くなっている爪の穴に束を差し込み握ると スラリと引き抜いて見せる。
磨き上げられた黒曜石の如き刀身に一同はため息をもらした。
「かっ…かか…かっくいいよ~♡」
末っ子は一連の所作にシビれ大喜び。
この業物とその主、ただならぬポケモンである事が伺い知れた。