Artist's commentary
リトル・ジャイアント
新年とうにあけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
今年の第一弾はFANBOXでネタばらしてました3連続レオーネです。
伝説的な綾部美津雄は全日本ラリー選手権のチャンピオンを4度獲得した誰もが知る人物です。
小柄な体格とダイナミックな走りからリトル・ジャイアントとして知られています。
若いころから高い技術を持ったドライバーとして有名でしたが、王座に輝いたのは意外と遅く39歳の時でした。
最後にチャンピオンになったのは2001年で、その時彼は50代半ばでした。
そして70歳を過ぎた後もそのエネルギーは衰えていないようです。
彼が最初にチャンピオンになった1986年に使用していたマシンがこのスバル・レオーネRXです。
このレオーネRXはRX/Ⅱではありません。したがってセンターデフを持たない古典的な直結式の4WD。しかもパワーの無いEA82型ターボエンジンです。
これはどう評価してもクセのある車両で、手放しでスポーツ向きだと言えるものではありません。
しかしこの前年の1985年という年は、日本で初めてマツダ・ファミリア4WDにセンターデフが付加され、4WD車には大きな期待がかけられていた時代でもありました。
それと同時にその年(1985年)の全日本ラリー優勝車両はフェアレディZでした。
つまり国内ラリーにおける有力車両のヒエラルキーは転換期にあったと言えるのでしょう。
実際、1985年末の雑誌インタビューで、何度もチャンピオンを獲得している山内選手は、翌1986年においてもアンダーパワーな4WD車よりも、フェアレディZやRX-7の方が有利だとの見解を示しています。
しかし1986年以降、全日本ラリーで二輪駆動車は事実上(後年二輪駆動部門が設けられる)の優勝からは遠ざかりました。
日本で初めて非CCVに四輪駆動を持ち込んだと言われるレオーネは、ラリーの場においても四輪駆動時代幕開けを華々しく・・・いや、静かに宣言したのです。
ちなみにその後、綾部氏はブルーバードやインプレッサでも優勝しましたから、4WDラリー車の進化の上で象徴的な3世代を乗りこなしたことになります。