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Artist's commentary
花屋前の通路
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薄暗い通路の一角で、若い女から若い男が花を買う。
帰る星が無くなってから五十年以上が経っている。故郷地球を知る“第一世代”は老人や人工冬眠で延命を図った者ばかり。彼らの多くは船で生まれ、船から出たことがない若い者たちだ。巨大な鉄の塊の中で彼らは暮らしつづける。
だが地球を知らない者たちも、窓の外の幻の星には奇妙な思慕の念を抱いていた。彼らにとって青い星は、友人であり、敵であり、神だった。