Artist's commentary
所属不明機
ビシュケク市街遭遇戦で、反政府勢力側が投入したと思われる謎のMS。連邦軍は『B(ボギー)1』或いは『ベールクト』と呼称している。
その正体は、AE社が開発したガンダム・タイプMS。開発コードはMSS-007、ペットネームは『レーグル』。
グリプス戦役勃発後の宇宙世紀0087年、エゥーゴに納入されたNT専用機MSS-008 ガンダム・ル・シーニュ開発の為の試作機で、ル・シーニュ同様に制御系にはバイオセンサーを採用している。
エゥーゴのNTパイロット専用機として細部までチューンナップされているル・シーニュとは異なり、『NT機として運用可能なMSの限界』を追求する事をコンセプトとする本機は、パイロットの生命維持を二の次に置いた非人道的な実験開発の産物である。
必然、NTかそれに匹敵する能力を持つ強化人間にしか扱えないモンスターマシンと化してしまったものの、『NTが運用可能な限界点』を一度見極めた事で、以降のNT専用MS開発では各種オプションを必要に応じてオミットし、軍の要求を容易に達成可能となった。
つまり本機はNT機開発のテストベッドであり、実戦運用を想定していない、純粋な技術検証用機体のはずであった。
U.C.0098年、12月9日。紆余曲折を経て反地球連邦組織『ダイクンの臣下』へと譲渡された本機は、組織の強化人間を主人として迎える事で、ついにその本懐を遂げた。
譲渡に際し、新たに搭載した背部推進器は1G重力下での跳躍・滑空用にAE社が新たに用意したもので、ビーム・カノン兼用のビーム・サーベル、準サイコミュ兵装であるリフレクター・インコム等に連邦軍NT研究所製MSの片鱗を見る事が出来る。
グリプス戦役終結後、連邦軍とAE社は戦時技術の記録・統合・吸収の為の共同調査チームを組織しており、その一環で連邦軍NT研究所の技術に触れた為であった。