Artist's commentary
RGM-86R/KC ヌーベル・ジムⅢ・インターセプター
RGM-79R ジムⅡの更なる性能向上を目指し、RX-178 ガンダムMk-Ⅱの設計の一部を取り入れたジムⅢには、現行のジムⅡから改修可能な規格とは別に、完全な新規製造機も存在した。連邦軍では後者を区別の為、「ヌーベル・ジムⅢ」と呼称している。
RGM-89 ジェガンへの機種転換が宇宙軍に優先して進められている関係上、陸軍では未だジムⅡやジムⅢ、ネモなどの旧式機体を主力とせざるを得ない実情があり、換装や改修による現行機種のアップデートが喫緊の課題となっていた。
86R/KC ヌーベル・ジムⅢ・インターセプターは、ヌーベル・ジムⅢの数少ないバリエーションの一つで、原型機の持ち味の一つといえる中距離支援能力を廃する代わりに、敵性勢力の侵攻に即応可能な機動力と邀撃能力の向上に主眼を置いた高機動カスタムである。
ジムⅢはジム・シリーズの中でも生産数が極めて少なく、総生産数はおよそ800機程度であるとされている。これは新規製造機(ヌーベル・ジムⅢ)を含んだ総数であり、新規製造それ自体は120〜140機程に留まっている。この為、インターセプターへの換装が行われた機体はさらに少ないと言われている。
実際、配備の確認されているビシュケク駐留部隊でさえ、運用実機は部隊長の搭乗する一機のみで、実質的にはパーソナル・カスタムの面が強い。
基本的な改修箇所はRGM-89S スターク・ジェガンに倣っているものの、背部バックパックから左肩へ掛かるように懸架されたシールド(ジム・コマンドのシールドを切り詰めたもの)は、RGM-96X ジェスタやFD-03 グスタフ・カールなど、90年代後半から100年代前半に見られる連邦軍MSと共通の意匠である。
軍縮に伴い新規開発の停滞が顕著となる中、連邦軍ではこれまで以上に弾力的なMSの運用法が模索されており、シールド保持用サブ・アームやSFSと連携した航空戦などはその際たる例といえる。
装甲の追加によって増加した重量を賄う為、脚部を中心にスラスター・ユニットを追加配置。通常型のヌーベル・ジムⅢの1.15倍にまで推力が増強された結果、単純な総推力ではνガンダムに肉薄する程の機動性を獲得するに至った。