Resized to 24% of original (view original)
Artist's commentary
彩雲と彩雲
彩雲(さいうん)は、太陽の近くを通りかかった雲が、緑や赤に彩られる現象である。
英語ではiridescent cloudsと呼ぶ。
昔から瑞相の一つであるとされ、これが現れることは吉兆とされる。
この現象は、日光が雲に含まれる水滴で回折し、その度合いが光の波長によって違うために生ずるもので、
大気光象の1つである。巻積雲や高積雲、風で千切られた積雲などに見えることが多い。
日の高い季節の昼間に太陽の下方に現れるやや上に反った水平な虹色の弧が彩雲として
参照されることも多いが、これは「環水平アーク」と呼ばれる現象で、雲の中の氷晶により見られる。
間違えられやすい別の気象現象である。
彩雲は景雲や慶雲、また瑞雲などとも呼ばれ、仏教などにおいては「日暈」などとともに、
寺院の落慶、開眼法要などには「五色の彩雲」等と呼ばれる、仏教的に重要な際によく発生する
現象として認識されていた。また、西方極楽浄土から阿弥陀如来が菩薩を随えて、
五色の雲に載ってやってくる『来迎図』などにも描かれており、瑞相の一つとしても捉えられていた。
日本における記述例としては、『続日本紀』神護景雲元年(767年)7月23日条と9月1日条に、
五色雲の記録が見られる。また、その出現自体が改元の理由ともなり得て、
飛鳥時代の704年から708年までは慶雲、奈良時代の767年から770年までは
上記の神護景雲の2つの年号が採用された。
実際には上述の「環水平アーク」同様、特定の気象条件や大気の状態により発生する、
それほど珍しくない大気現象であるが、それ故に特定の事象、行事と結びつけて
認識されることが多々あったと考えられる。