Artist's commentary
「雪風の可愛さはまずその天真爛漫な笑顔です。どこか小動物を――」
105日目
「『おはようございます!貴女の榛名が朝の5時のお伝えします!』
艦娘の朝は早く、私の朝も早い。本来6時が起床時間であるが、私はいつもこの着信で目を覚ます。総員起こし以降にしてと伝えても、一日の初めに提督の耳に入る声は榛名じゃないとダメなんですと言って聞いてくれない。
『デレデレデレデー、デーデデーン!デレデデーデデーン!(提督との絆)さてここで朝の榛名クイズの時間です!榛名の愛はまるで砲火の爆発のように激しく情熱的ですが、爆発と聞いて思い出すのはそう、ニトログリセリンですね。はいドン!ちょうど榛名の手元にニトログリセリンの塊があります。あっ、衝撃は良くないそうです。さて提督はニトログリセリンと聞いて何を思い出しますか?まず初めに榛名の瞳、まつげ、唇……既に榛名のことで頭がいっぱいになっていて思い出す余裕はないと思いますが、クイズが始まってから30秒が経過した今の提督なら生物学者ライアル・ワトソンさんのことを思い出す頃合いですよね?さすが提督です!ワトソンさんといえばグリセリンの結晶化に纏わる逸話が有名です。そうです、シンクロニシティです!』
身に染み付いた軍人としての習性か、私は目を覚ますとほとんど自動で布団をたたみ始める。その流れで通話をスピーカーフォンに切り替え、朝の挨拶を返し、ラジオのように流れる榛名の声をバックに着替えを始め、1分も満たないうちにブラウスのボタンを留め終えて洗面台へと向かう。
『シンクロニシティ。意味のある偶然の一致のことです。深海棲艦が現れた時期と妖精さんが現れた時期は一致するとか、シンクロニシティを感じますね。あとは榛名と……名前は言えませんが!彼女とは同時期に同じ人を好きになりました。ライバルです!力では榛名の方が上なので大丈夫です!さてここで問題デデン!榛名と提督が毎朝同じタイミングで不意に』目を合わせてしまうのはシンクロニシティでしょうか?」
部屋のトイレのドアを開けると、便座に腰掛け、スマホに語りかけている榛名と目が合った。片手にはダイナマイトらしき何かを持っており、それが逆に私を安堵させた。
「答えはノー。これは愛です」
「うーん無理心中かな?」