八月、日陰の下。生ぬるい風が、どこかの風鈴の音をのせてやってくる。今日が終わるまであとどれくらいか、この夏が過ぎ去るまであとどれくらいか。僕はよく冷えたラムネの瓶を片手に、遠くにそびえる入道雲を見上げる。赤く染まり始めた夏の面影に、いつかの過ぎ去った夏を重ね合わせながら。
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