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Artist's commentary
fernweh
ぼくは子供の頃、入道雲の向こうに懐かしさを感じたことがあった。
空を往く鳥たちの姿を目で追うと、少しだけ胸の奥が痛かった。
大きくなったぼくは、その痛みの理由を探すために旅人になることを選んだ。
いろいろな国へ行った。ぼくは初めて、どの国の夕焼けも赤色だという事を知った。
でも結局、今でもあのときの痛みは何もわからないままだった。
ぼくは産まれる前にあの空をゆく鳥だったのかもしれない……なんてね。
――さて、ぼくの旅はもう終わりだ。僕の体は、もう動かなくなっちゃったんだ。
明日、ぼくは幽霊になる。悲しいことだとは思わないよ。
悔いこそはあったけど、悪くない人生だった。
幽霊になったらきっと、あの遠くの空へ逝ってみるんだ。