戦場に向かって歩いていたら、丘一面に武器が捨てられていた。
地面に突き刺さった剣や槍は錆びだらけのボロボロで、
まるで山火事で焼け落ちた木々の中を歩いているよう。
何だろうと思っていたら、通りすがりの魔法使いが教えてくれた。

「これは墓標だよ。この辺り一帯は先の戦争の激戦区となった場所だ。
その戦死者たちが、人間も魔族も関係なく共にこの土の下に埋められている。」

「ふーん、じゃあたくさん死んだんだね。」

「そう、多くの犠牲者が出た。…今度の戦争でまた墓標の数が増えるのかもしれないな。
君も気を付けるといい。ここは静かなものだが、あそこに見える廃城を越えるとすぐ戦場だ。」

「教えてくれてありがとう。君いい人だね。」

そう言って魔法使いと別れた。ようやく目的地だ。

それにしても、こんなにたくさんの亡骸をわざわざ土に埋めてしまうなんて変な事をするなあ。
そんなことしたって木の芽が生えて来るわけでもないのに。

もったいない。

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■お借りしました
喪失の記録人ルクト【pixiv #72972121 »】

樹人シュラカンパ【pixiv #72957564 »】

企画元：pixivファンタジア Last Saga【pixiv #72934234 »】