―

拝啓

ファーナル領の皆さん、お元気ですか？
こちらは元気です。

ボールランの気候は湿度が高く温暖で故郷との違いに少し驚いています。
そちらは相変わらずの降雪でしょうか？
この手紙が着くころには凪の季節かと思いますので
猟師の皆さんは漁の用意をお願いします。いっぱいカニを獲ってくださいね。
私はカニが好物なので、帰ったらたくさん食べたいです。期待しています。

それから、出かける際に言っていました使えそうなものですが、一つ目をお送りいたします。
これはファイアハーブという植物です。ファイアランドに生育しており温暖な気候を好むようです。
まじないをかけて暖かくしておきますが早めに温室に入れて育ててみてください。

葉っぱが可食部のようで食べるととても温まります。
粉にすると防虫効果の他にお肉の臭みも消えるそうです。干し肉づくりに使ってもいいかもしれませんね。

それでは、まだまだこちらのお仕事は終わりそうにありませんので
何かあったらすぐにお手紙を送ってください。
引き続きお留守番、よろしくお願いいたします。

ファーナル領主、ゼルフォルト

―

こうしてファーナルへ輸入されたファイアハーブは特殊な生育環境に順応し領内でも使用されるようになった。
しかし、極夜の地であったためか真っ赤な葉はみるみる変色し紫色の葉っぱと姿を変え
後に「パープルハーブ」という亜種植物となる。
辛さはファイアハーブよりも抑え気味だがしつこいほどに辛みが残り発汗作用も長く続く代物になった。
巷ではその効能から「女神のボディブロー」と呼ばれるようになりファーナルの通好みの特産品となる。
当然のように便通は悲惨な事になるので直接の服用はお気をつけて。

この後領主は領民にハチャメチャに怒られるがそれはまた別のお話である。

―

お借りしました
　
　ファイアハーブ「pixiv #73139371 »」
　リトリーちゃん「pixiv #73116417 »」

―

半里の領主ゼルフォルト「pixiv #72956916 »」