Artist's commentary
タイガーⅡ(キングタイガー)503重戦車大隊第3中隊301号車
1944年7月31日、ドイツ陸軍第503重戦車大隊第3中隊はパリ東方の演習地マイイ=ル=カンプで新兵器タイガーⅡ(キングタイガー)14両を受領します。大多数はポルシェ砲塔搭載車でしたが、少なくとも内2両はヘンシェル砲塔搭載車でした。301号車は予備履帯懸架フックのない極初期ヘンシェル砲塔搭載という珍しい仕様で、この絵の迷彩柄はこの頃撮影された塗装作業中の有名な写真によります。
同中隊は新機材の慣熟もままならないまま8月11日に出動、パリ中心部シャンゼリゼ通りを通り、ノルマンディー方面へと向かいます。すでにドイツ軍のノルマンディー戦線は崩壊、制空権は完全に連合軍に奪われ、日中は街道や鉄道での移動すら困難な状況でした。同中隊も戦場に辿り着く前に故障と航空攻撃により損耗、中隊の多くのタイガーⅡは直接の戦火を交えることなく破壊、遺棄されたと思われます。
しかしながら301号車には乗員が車体下部の被弾痕を調べる写真が存在(本当に同車なのかは不明)、戦闘を経験した可能性があります。仮に対戦車戦闘をおこなったとすればパリ北西、マント=ラ=ジョリー付近が候補の一つ、同地には301号車ではありませんが、今も(?)ヘンシェル砲塔搭載車の残骸があるようです。
いずれにせよ同中隊は出動したタイガー戦車全てを8月中に喪失、マイイ=ル=カンプに残った2両のみがフランスからドイツ本国への撤収に成功しています(内1両が有名なポルシェ砲塔搭載の『アンネリーゼ』となります)
比較的古い資料、ネット情報、私の思い込みで考証したので多くの間違いが含まれる可能性があることに御留意ください。
シャーマン戦車はさらにいい加減な考証です。パットンの第3軍所属でしょうか?搭乗員は脱出に成功したようです。タイガーⅠですらシャーマン4両に相当すると言われてるのにキングタイガーなんか目が合っただけで戦意喪失、車両を捨てて逃げます、私なら。