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Artist's commentary
大正一〇六年・秩父三峰
お犬様信仰とは、狼(大口真神)を神仏の使い・或いは神そのものとする信仰である。
其の信仰は武蔵国秩父を発祥として関東一帯を中心に隆盛し、遠くは東北にまで広まつてゐる。
お犬様の霊験は実にあらたかで、火難・疫病・盗賊・四足除けなど多岐にわたる。
お犬様を眷属若しくは祭神とする諸寺社に於いては、お犬様のお姿を写しとつた御札の授与がなされてをり、
利益を求むる者は此れを拝受し、自らの家屋や畑に奉る。
お犬様は信徒の家や畑を一軒々々飛び回り、守護に勤むると云ふ。
月に一度は休息をとりに自らの寺社へ帰つてゆくが、其の時諸寺社ではお犬様を労ふ為、
赤飯などを炊き上げて奉納する。此れをお炊き上げ神事と呼ぶ。